刀匠鍛冶の伝統を受け継ぐ山形打刃物
製造工程
手造り鍛造の現場
▼ 刃物(草刈りがま)の出来るまで(1)【鍛造】
山形の打刃物が、粘りがありとても切れ味が鋭いのは、すべてが鍛造の工程を経て生産されているからです。
- まず材料を手打ちのハンマーで叩きながら原型を形作ります。
- 材料は軟鉄と鋼鉄を8対2の割合で2層にしてあります。
- 次に、ベルトハンマーを巧みに操り、形、厚さを整えていきます。
現在の工業技術では、整形だけならプレスの方が断然早いし安価です。しかし、敢えて力と技術の必要とされる、手作業による鍛造で刃物を作るということは、単に延ばす、曲げるいう工程のためだけではありません。 - 2層に張り合わせられた軟鉄と鋼鉄は、叩くことで、しっかりと接合され、粘りと張りが出てくるのです。使いやすい刃物は、しなやかに曲がり、またもとの状態に戻るという特性を持ちます。ただ硬いだけの刃物では脆くなってしまうのです。
- 職人の技により、ハンマーだけで、刃物へと形作られていきます。鉄が意志を持っているかのごとく、材料を刃物へと形作ります。その製品の誤差は、わずか2ミリ以内です。
- 鍛造の仕上げは、やはり職人の腕です。ベルトハンマーでの凹凸が、手作業により滑らかな曲面を形成していきます。
▼ 刃物(草刈りがま)の出来るまで(2)【研ぎ】
《荒研ぎ》
- まず、目の粗い砥石で全体の形状を整えます。この時に、2層になった軟鉄の部分を削って、ハガネ(鋼鉄)の刃の部分を露出させます。火花のダイナミックなイメージとは裏腹に、神経を使う作業です。
《中研ぎ》
- 更に刃先全体に、均一にハガネが出るように注意を払いながら、中目のグラインダで研ぎます。
《仕上げ》
- さらに切れ味を高めるため、目の細かい砥石で刃先を仕上げます。この刃付けの作業には、相当な熟練が必要とされます。まさに『職人の技』の見せ所です。